ギガンテスの砦
ゴォは物音を聞いた。
ガサッという音は、砦の門の端でしていた。
白夜の薄明かりの中、それは突然現れた。
どういう原理なのか、その巨大な塊はゴォの眼前に現れたのだ!
それはトドのような四足獣で、優に3メートルは超えていた。
即ち、門よりも大きい。

ゴォは構えた。
腰に据えた武器はトマホークと呼ばれる両刃の斧である。
斧ではあるのだが、その形はちょっと異様で刃渡りが50センチもあった。
剣の刃を持つ長い柄の付いた武具であった。
重さもかなりあったが、それを自在に操るその様がゴォが勇者たる所以である。

右手で繰り出されたそれは疾かった。
横一線に引かれた軌道上にトドの首があって、その長い牙ごと大根を切るように両断された。

巨大な頭部は吹っ飛んでいき、その巨躯は轟音と共に倒れた。
あまりの速さ故、返り血さえ浴びてないゴォはトドの死骸を見つめた。
腹の辺りに、ナイフの刃が突き出た。
トドの腹の中から。
ズズズと腹の脂肪を割くと、血と共にばっくりと空間が開いた。
その中から、血に塗れた人影が現れた。










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