ギガンテスの砦
「何をしておる?」
巨人の顔を、その辺の雑草で拭きながらゴォが訊いた。
目が開くようになった男は、ハッとして状況を把握した。
「ゴォ?」
巨人な男、ヒムは呟く。

「死んだかと思ったわ」
ヒムである。
ギガンテスの男は毛皮を着る。
食糧の為の動物を狩り、その恩恵を受けるのだ。この寒い地域ででも、その毛皮は肩までしか無く腕は丸出しである。
ゴォもぶ太いヒムの腕も。

そして拳から肘にかけても毛皮で巻いていた。これがギガンテスの男の正装である。
今や、ヒムの毛皮は血に染まって真っ赤であるが。

ヒムは砦の見張りであった。
砦は超えてはならぬ。
その伝承を守るため、昼夜問わず見張りが交代で巡回しているのだった。

ゴォはヒムに用があって巡回時間である砦まで来たのだが、ヒムの姿がなく探していたのであった。







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