【SR】秘密
闇に浮かぶ白い紙を、震える手で摘みあげた。


「もう、嫌…………。誰なの……。」


そのまま紙を放り捨て、布団に戻り、頭から自分を隠す様に布団を被った。


“愛してる

 君の秘密も

 全て

 永遠に一緒

 【3】”


ここ一ヶ月ほどずっと贈られて来る、無機質な文字の真夜中の手紙。


文面はいつも違っていたが、ここ数日は変わらなくなった。


変わったのは下につく数字だけ。


昨日は、【4】。


今日は…………。


ぎゅっと下唇を噛み締める。


警察に言っても事件が起こらなきゃ動けないの一点張り。


『今度は保護者の方と来てね』だって。


保護者?いついるかもわからないあの人の事?


……あたしは、一人で生きて行かなくちゃいけないんだ。


こんな事位で躓いてる場合じゃない。


どうすればいい?


犯人がわかれば手の打ちようもあるかもしれないのに……。


あの時以来、すっかり心を閉ざしたあたしには、もう友人と呼べる者はいないし、ここに越したのは誰も知らない。


得体の知れない誰かが、あたしを付け回している事に吐き気を覚える。


書かれた数字のカウントダウンと共に、眠れない日々が続く。


頭痛は、治まらない。
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