【SR】秘密
キーワード

……・……・……・……



「いらっしゃいませ!貴一さん、ご指名ありがとう」


あたしはしゃがみ込んでいつもの様に両手で握手をした。


「お友達もあたしに指名入れてくれたって……ありがとう」


同じ様に貴一さんの隣の男にも挨拶する。


まさか、昨日の今日で指名で戻って来てくれるなんて。


しかも友達連れで。


これでバックが増えると内心でほくそ笑む。


貴一さんみたいなタイプは接客して楽しい。


酔っ払って絡んで来る事は無いし、第一印象が良い人はだいたい波長が合う。


それに、こんなカジュアルなキャバクラなのに、照れ臭くなる位に紳士的。


長い客になるように引っ張らなきゃ。


「何飲みます?」


とりあえず貴一さんに向かって聞いた。


「あぁ、俺達二人とも今日車だからウーロンで。
急にこいつが来たいって言い出したから置いて来れなかったんだ。
桜は好きなの飲んでいいよ。あと、フルーツの高い方。
飲めない分ね」


本当に、よく気の回る人。


自分達の飲めない分、店のフードで一番高いものを自ら選んでくれる。


「ん、わかった。ありがとう!」


注文をしてから、貴一さんの友人に名刺を渡した。


「いや~、貴一から聞いてはいたけど、これほどの子とは思わなかったよ」
< 15 / 52 >

この作品をシェア

pagetop