【SR】秘密
……・……・……・……
俺は思わず心臓が動いてるか確かめた。
テーブルに来た時の桜を見て、息が止まりそうになったからだ。
今日はベアトップのピンクのミニドレス。
細く長い手足をこれでもかと見せつける。
俯いた時の長い睫に、濡れた唇からは俺の名前。
そして、妖艶であどけない笑顔。
隣の友人につつかれなかったら、桜に穴が空いたかもしれない。
刑事だと聞いて動揺を覗かせたけど、すぐ隠したのはプロ根性か。
それとも、色々あった中で身についてしまったものなのか……。
後についた女の子は、酷い有様だった。
飲むだけ飲んで、桜がいない間にテーブルは目茶苦茶。
自分で吸った煙草の灰が派手に散っているのも気づかずに、高笑いしながら喋り続けていた。
ラストまで次々と替わる女の子は皆どんぐりの背比べ。
余計に桜が天使の様に思えた。
友人も、うんざりと適当に合わせながら、目だけはせわしなく本来の努めを果たしている。
「アフターって事にして、送りの車はキャンセルするわ。
着替え終わったら携帯に電話すればいい?」
俺に上着を着せてくれながら、桜が言う。
「あぁ、頼むよ」
また来てね~、と女の子の花道が作られた出口までの道を、友人と所在なさ気に歩いた。