【SR】秘密
ひゅうと友人が口笛を吹く。


…………驚いた。


目の前に置かれたのは、さっきまで良く目にしていたボトル。


「これが、セット料金なんかにも含まれてる一番ジェミニで出る焼酎のボトルよ。
何でも頼んでいいって言ったから入れといたの。
女の子が飲んじゃってるけどテーブルに出てたやつ。
キーワードは酒って言ってたから……。」


「……すごいな、こんな簡単に持ち出せるものなのか?」


感嘆の息を漏らす俺に桜が言い放つ。


「貴一さんが持って帰っていいって言われたって言ったの。
次にまた新しいボトル入れてくれるからって。
理由があれば簡単よ。
厨房で作ってる食べ物も、前もって注文しておけば帰りにくれるの。夜食に。
有料だけど……」


ケチよね、と整った眉を潜ませる。


「……驚いたな。まさかこんなに早く……ちょっと待っててくれ、渡してくる!」


友人がバタバタと部屋を出て行った。


「ねぇ、貴一さん。あのお酒の中って……。」


俯いてる桜の姿に胸が痛む。


「……一年位前かな。新種のドラッグが蔓延して、ひどい事件が多発した。
服用したまま車に乗って事故が起きたり、そこら中で暴行事件が起きたり……関係ない人達を巻き込んで……。」
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