【SR】秘密
……・……・……・……
俺は耳を疑った。
「ストーカー?!」
桜が苦い顔で頷く。
「手紙だけなんですけど……。ここ一ヶ月位、真夜中にずっと。
もう、気味が悪くて……。
警察にも話したんだけど、取り合ってくれなくて」
ちらりと友人に目をやると、こちらも苦い顔をしている。
それはそうだろう、痛い所を突かれたんだから。
ストーカー規制法があるといっても、何かが起こらなきゃせいぜい出来るのは警告まで。
日々飛び込んで来るストーカー被害に全部対応してたらラチがあかないというのが本音だろう。
「……どんな手紙?」
「内容は様々で……ここ何日かは同じ内容で、カウントダウンされる数字だけが変わってるだけ。
数字がゼロになる日が誕生日で……。
何かあるって証拠がある訳じゃないけど…………。」
桜の誕生日に向けての手紙。
どんな恐怖が纏わり付いているのかは安易に想像できる。
確かにこれだけじゃ警察は動かない……。
それに……。
憂いを帯びた顔で俯いている桜をじっと見る。
白く細い器用そうな指先に、綺麗な桜色と銀のラメで装飾された爪。
その指先でなぞられる唇から目が離せなくなる。
遠くから見ていても漂って来そうな甘い香り。