【SR】秘密
バースデー
……・……・……・……
あれからあたしは、貴一さんに送ってもらって家に着いたのが午前4時。
いつもとっくに届いているはずの手紙は、入っていなかった。
そのかわりに、シャワーを浴びた後ファックスが入っていた。
まだ幸せの片鱗が残っていた頃から使っている感熱紙の無駄に大きなファックスの機械。
ベロリと垂れ下がるそれにはいつもと同じ文章に数字。
【2】
刑事さんのおかげで、いつも程の恐怖は感じずに眠りに落ちた。
その後は普段通りに学校で睡眠を取って、仕事へ行く。
ジェミニで常連さんのお相手をして、貴一さんと打ち合わせ。
律儀に貴一さんはオープンからラストまでお酒も飲まずにいてくれた。
「仕事以外は暇だから大丈夫。ここのツマミ旨いし」
帰り道、送りの車から、家の近くに背の高い男の影がちらりと見えた。
多分、あれが……。
家に帰ってシャワーを浴びると今日もまたファックス。
【1】
…………明日は、あたしの誕生日。
うとうとしていると、幸せそうに笑う両親にもったいぶりながらケーキの蝋燭の火を吹き消す女の子が頭に浮かぶ。
夢の中での出来事か、意識を手放す前だったかは良くわからない。
一人の夜の闇にはもう慣れた。
感傷に浸る場合じゃない、あたしは生きてかなくちゃいけない。
それだけが頭の中で呪文のように繰り返される。
『勝ち組になるの』
もう、聞きたくない…………。