【SR】秘密
「いや、最近あいつ桜に付きまとってたからな」


「ここ何日かはオーラスで店に来てたしね、あの人」


入れ直したコーヒーを、ヤマトが上機嫌に口に流し込む。


「なんだか、俺にとっても最高の誕生日だ」


「それよりヤマト。明日も仕事なのにごめんね、こんな真夜中にお願いしちゃって……。」


「桜の為なら何でもするって。
……それより、これが?」


テーブルに散らばる手紙を指差す。


「うん、そう……。【0】は無いけどね」


「……気味悪かったんだろう?よく頑張ったな」


あたしはすっと手紙を指先でなぞる。


「うん……でも、これだけ愛されてたら、幸せになれたかなってちょっと思うよ」


「桜……いつも言ってるけど、俺だって愛してる。
そんな紙切れなんかより、ずっと。
…………ずっと、見ていたんだ。

今日の誕生日に、プロポーズしようと思ってた」


思わず目を見開いた。


「プロポーズ?」


告白はいつもの事だけど、まさかそんな……付き合ってもいないのに。


突然のすっ飛ばした告白に驚きを隠せない。


「そうだ。桜、俺と結婚してずっと一緒にいて欲しい」


あたしの手を両手で握り締める。


「……初めて見た時からずっと、桜が頭から離れない……。
本当の桜の事も知ってるんだ。
だから今日まで待ってたんだ」
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