【SR】秘密
そう言いながら、まるでお姫様をエスコートするかの様にあたしの左手をゆっくりと持ち上げた。


「俺が初めて桜に会ったのは、俺が18歳の時だった……。
親父の会社で働き始めてすぐに、桜の家に荷物を届けたんだよ。

あの頃は一軒家に住んでいたんだよな。
懐かしいよ。

まだあどけない桜は、お母さんの後ろから俺ににっこり微笑んだんだ。

……あの初めて会った日。
俺の、18歳の誕生日だったんだ。

神様は、最高のプレゼントをくれたよ」


うっとりとあたしの手の甲を撫でながら、遠い目をするヤマト。


目の前がくらりとした。


…………まさか、五年も前からだったなんて…………。


だからこそ、今日を選んだんだ。


「困るよなぁ?頑張って入った高校に、夜の仕事してるなんて知られたら……。

どんなに頑張っていたか、ずっと見てたんだ。

お父さんが亡くなった時も、本当は抱きしめてあげたかったけど……。

今日一緒になる運命だったから、必死で我慢したよ。

お母さんもいなくなったなんて、やっぱり神様がふたりきりにしようとしてくれているんだ……」


…………もう、やめて。
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