【SR】秘密
悲報を知らせる電話。


その頃蔓延していたドラッグを服用しながら運転して事故を起こした父さんの死。


冷静で安堵の表情すら浮かべる母さん。


お線香の匂い。


母さんの並べる言葉の数々…………。


…………そんな事故がそっくりな二人に降り懸かるなんて、なんて皮肉なんだろう。


「……そうなんだ……」


「それで、桜の担任と協力して二人のケアに努める様にしてた。
……母親が家にいない事も聞いてたよ。
……そんな時に、ジェミニに行って桜に会ったんだ。
桜は健気に一生懸命働いて…………。
そんな姿を見たら辞めろなんて言えなかった。
友人の頼みに感謝したよ。
……同時に、この因縁にも絶望したけどな……。」


因縁。


薬物で父を無くした娘が知らない内に薬物に囲まれていたなんて。


あの人の様にはならないと足掻いていた自分が酷く滑稽だ。


「……ねぇ、何故あたしは平気なのかな。ヤマトよりも飲んでたはずなのに……。」


さっきのヤマトはだいぶ症状が出てた。


でも、あたしは何とも無い。


強いて言えば、帰宅してから頭痛があった事位だった。


「それが不思議だった。俺はそんなに飲んで無かったんだと思ってたんだけど……。
何か、みんなと違う事をしてたとか……?」
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