貯金500万円の使い方


 舞花に言われた通り、僕たちはマンションの近くの公園に車を止めた。

 この地を去ってから三年。

 その風景は全く変わっていなかった。

 風景どころか空気も匂いも、何もかもが変わっていなくて、懐かしいというより、帰ってきたという感覚の方が強かった。

 一歩一歩足を踏みしめるごとに、まるで昔の自分に戻っていくようだった。


 この公園は舞花が小さい頃よく来た。

 よく一緒に遊んだ。

 ひたすら穴を掘り進めた砂場。

 「押して」と言われて押してやったブランコ。

 一人で滑るのが怖くて、膝の上に乗せて一緒に滑った滑り台。

 小さな舞花が、公園のここそこに姿を現す。


 __いつの間にか、一緒にここに来ることもなくなったな……


 そう思った瞬間、小さな舞花がすっと消えた。


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