貯金500万円の使い方
今日も舞花はカメラを首にぶら下げている。
今日は少し遠出をして舞花の大好きなキャラクターのいるテーマパークに遊びに来た。
平日の方がゆっくり回れるし、人混みもないからという理由で、仕事も、学校も休んで泊りがけで来ている。
舞花は激しいアトラクションが昔から苦手だった。
どちらかというとゆったりと見て回れる船や乗り物を好んだ。
パレードも好きだった。
いつもは混みあっていて人混みを縫いながらじゃないと見えないパレードも、今日は空いていたので、ベストポジションを確保した。
パレードまでの待ち時間、歩美と舞花はトイレに出かけた。
それっきり戻ってこない。
おそらくお土産屋に寄っているのだろう。
舞花のカメラは、今僕の首に提げてある。
何気なく、カメラの電源を入れた。
カメラマンになったつもりで、カメラを構える。
ユニークな建物やキャラクターを象った植木にピントを合わせてみる。
舞花のように、いろんな機能も使ってみる。
慣れないカメラ操作に戸惑いながらも、メニュー画面を順に触っていく。
効果を選ぶたびに画像が加工されてなかなか面白い。
思いがけず、プレビューボタンを押してしまった。
そこには、舞花がこれまで撮りためた写真が収められていた。
僕は好奇心の赴くままに、その写真を一枚一枚スクロールしていった。
家族の写真。
友達の写真。
様々な時間帯の風景。
動画もあった。
同じような写真が何枚も何枚も撮られている。
失敗作なら消してしまえばいいのに。
すぐにメモリがいっぱいになってしまうじゃないか。
写真を見る中で一番多いと感じたのは、あおい君の姿だった。
特に多いのは、バスケをしている姿だ。