That's because I love you.

放課後まりあは、加賀見との待ち合わせ場所である、高級ホテルの一階のロビーへと足を運んだ。
そこは金持ちの加賀見の行きつけともあり、非常に豪華で大きなホテルだった。
煌びやかなシャンデリアや絵画、家具の数々に、まりあは緊張気味である。

「…す…すごいホテルだね、加賀見くん…。」
「ふふ、望月さん緊張し過ぎ。他の三人から遅れるってLINE来たから、先にカフェに入ってようか。」
「うん…っ。」

ロビーと同じ一階にあるカフェに入ると、立派な庭園が見渡せる窓際の席に通された。

「わぁ…すっごくキレイなお店…。」
「雰囲気いいでしょ。ほら、このアフタヌーンティーセットどう？」

加賀見に見せられたメニューには、英国風のお洒落な三段のケーキスタンドにフルーツやケーキやスコーンが綺麗に盛り付けられた写真が載っていた。

「わぁぁ…。こんなのテレビの中でしか見たことない…っ。」
「ふふ…そうなの？凄く美味しくてお勧めだから頼もうか。」
「加賀見くんはいつもこんな素敵なお店に来てるんだね。お得意様割引なんてすごいね～。」
「まぁね。」

加賀見がこの店の常連というのは本当だが、"お得意様割引が今日使える"という話は嘘である。
加賀見はまりあの高級店への抵抗心を和らげるために、そう嘘を吐いたのだ。
店員には、会計の際半額で値段を言ってもらう様、予め話も通していた。