That's because I love you.
「飲み物は何にする?」
「じゃぁブレンドコーヒーで…。」
「コーヒーが好きなの?」
「うんっ。子どもの頃からずっと好きなの。」
「そうなんだ。…でも望月さんには紅茶が似合うと思うな。女性のアフタヌーンティーのお供には、紅茶がお決まりなんだよ。」
「そ…そうなの?」
「エレガントな女性は皆紅茶を選ぶよ。今日は俺のお勧めの紅茶、頼んであげる。」
「…あ…ありがとう。」

運ばれてきた紅茶とケーキを、二人で食べ始める。
加賀見が頼んでくれた紅茶はとても香り高く、普段紅茶をあまり飲まないまりあでも、良い葉を使って淹れられていることが容易にわかった。

「美味しい…。」
「そうでしょ?気に入ってくれてよかった。」

(…美味しいけど…やっぱり甘いケーキと交互ににがいコーヒー飲みたくなるなぁ。でもせっかく加賀見くんがお勧め教えてくれたんだし、今日は我慢しよう。…ふふ…、明広さんと一緒に、いつかここに来れたらいいなぁ。その時は二人でコーヒーを飲もう…っ。)

明広と二人で仲良くコーヒーとデザートを味わう光景が脳裏に浮かんだまりあは、思わず幸せそうに微笑む。
しかしすぐに、その笑顔は曇った。

(…ぁ…また私、勝手に一人で浮かれてる。明広さんには私への気持ちなんてないのに…ほんとにバカだなぁ…。)

まりあの弱々しい笑顔を見た加賀見は意を決し、普段より少し低い声色で切り出す。

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