That's because I love you.

明広の方に気持ちが無くても、一度も"好き"と言って貰えなくても、デリカシーの無い言葉を言われ傷つけられても、そんな明広よりよっぽど誠実な男性に想いを寄せられてもーーーまりあにとっては、明広と過ごす時間だけが宝物だった。
胸がドキドキと高鳴って、嬉しくて幸せな、特別な時間だった。

最近明広と会う時間を作れずにいたのは、彼が今一番欲しいと思っているであろう物をプレゼントしたいと思い、バイトを無理に詰め込んだから。
……それだけではない。
明広と過ごす夢のように楽しい時間が終わり彼と離れた後、彼に"好き"と言って貰えない寂しさが爆発し、心が驚く程不安定になる自分が怖かったのである。

しかしこれからはもう、そんな心配はしなくていいのだ。



"ーーー好きだよ。"

ずっとずっと欲しかった、明広からのその言葉が、まりあの脳裏に響く。

(……本当に…?…明広さんが、私を…。)

唇がそっと離れた時、まりあはぽろぽろと暖かな涙を零していた。
明広はそれを、片手で優しく拭ってやる。

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