That's because I love you.
ラブホテルの部屋を選ぶ時、今回は初めから"宿泊"を選択し、部屋に入る。
交代で風呂に入った後二人でソファーに座り、頼んだウェルカムドリンクを飲みながら、まりあは隣に座る明広をおずおずと見上げた。

「…あの…明広さん。」
「んー?」
「…さっきは嬉し過ぎて頭回らなくて訊けなかったんですけど…。明広さん、いつ私のこと…す…、好きに…。」
「…あー。自覚してなかっただけで、かなり前から好きだったみたい。自覚出来たのは、10日くらい前に加賀見に喧嘩売られて、その後。」
「ケンカ…っ?あ、あの加賀見くんがですか…!?」
「喧嘩っていうか…大真面目な顔で"望月さんと別れてくれませんか"って言われた。で、別れたくない、絶対まりあを渡したくないって思った。まりあと離れることを想像したら、怖くて堪らなくなった。…情けないけど、加賀見の言葉でやっと気付いたんだよ。まりあのこと、ずっと好きだったんだって。」
「……!」
「…僕がまりあを幸せにしたいと思った。ずっと可愛いペットだと思ってたけど、全然違った。…まりあは僕の、たった一人の大事な女の子だよ。」
「…明広さん…。」

明広の言葉にまりあは嬉し涙を浮かべた後、はた、と何かに気が付いて固まった。

「…ふぇ?…ペット?」
「そう。ずっとそう思い込んでた。」
「えぇ~…っ?一体私、何の動物だったんですか?」
「うさぎ。」
「うさ…!?どして~っ?」
「いつも小動物みたいにぷるぷる震えてるから。」
「むぅ~…っ!いつもではないでしょ~っ!」

むくれたまりあがぽかぽかと明広の腕を猫パンチすると、明広は「非力な攻撃だねぇ。やっぱうさぎだ」と言いながらおかしそうに笑う。
すると「むぅ~」と不満そうにしていたまりあも、彼の笑顔につられてふふっと笑いを溢した。
明広はまりあの可憐な笑顔に無意識に見とれてしまった後、ぼそっと呟く。

< 136 / 165 >

この作品をシェア

pagetop