That's because I love you.
「…もっと怒らないの?ペットなんて言われて。」
「ふふ…、怒らないですよぅ。明広さんが私にずっと優しくしてくれてたことには変わりないもん…。…明広さんと付き合えてから、私にとってはほんとに…夢みたいな日々だったんです…。」
「…………。」

まりあの言葉に胸が切なく締め付けられる感覚を覚えた明広は、一瞬視線を自分の膝に落とす。
明広は少しだけ思い詰めた様な表情のまま、隣に置いていた自分の鞄の中からおもむろに小さなショップ袋を取り出すと、それを彼女に差し出した。

「……はい。」
「…ふぇ?」
「…クリスマスプレゼントだよ。…あげる。」
「……!えっ…え…っ!」
「…驚き過ぎでしょ。何も用意してない訳ないじゃん。…開けてみて。」
「…は、はい…っ。」

思わぬ展開に、まりあは震える手で上品なラッピングを解いていく。
中に入っていたのは、淡いピンク色の石が数個施された、雫型の華奢なネックレスだった。

「…9月の誕生石調べてみたら、サファイアだったんだよ。でも青はまりあには大人過ぎると思ってさぁ。…ピンクサファイアってやつ見つけた時、まりあに似合うなってしっくり来たんだ。」
「……。とっても…キレイです…っ…。」

自分で選んだアクセサリーを女性に渡すなど初めての明広は、照れ臭さのためまりあから目を逸らして話していたが、彼女がひっくとしゃくり上げ出したので苦笑しつつ彼女を見やる。
案の定、まりあはぼろぼろと大粒の涙を零していた。

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