That's because I love you.
「…本当涙腺緩いねぇ…。」
「…だってぇ…っ。」
「…ほら、貸して。」

ひっくひっくとしゃくり上げながら泣いているまりあからネックレスの入った小箱を取り上げると、中身を取り出しまりあの首に掛けてやる。
キラキラと優しい輝きの石がついたピンクゴールドの華奢なネックレスは、まりあのために作られたかと思う程彼女によく似合っていて、思わず見とれてしまう。

「…綺麗だ。似合ってる。」
「…っ…。ありがとう…っ。」

まりあは片手でごしごしと涙を拭い、心から幸せそうな笑顔を見せた。
またしても胸が締め付けられた明広は、思わず彼女をぎゅっと、強く抱き締める。
加賀見と話してからずっと気にしていたことを、少々ぎこちなく話し出した。

「……あのさ。…まりあ。」
「…はい…?」
「…僕がずっと"好き"って言えなかったせいで、いっぱい傷付けて…ごめんね。まりあはずっと口に出さなかったし、さっきだって"夢みたいな日々だった"なんて言ってくれたけど…本当は僕と一緒に居て、つらかったんでしょ…?」
「んーん…っ!!」

まりあは間髪入れず、明広の腕の中でぶんぶんと首を振った。

「確かに思い悩んだこともあったけど…それより遥かに、夢みたいな時間の方が多かったです…!」
「…本当?」
「ほんとです…っ。…だって明広さんはちゃんと、私を大事にしてくれてたじゃないですか…。」
「………!」

確かに明広はまりあへの恋愛感情を自覚出来ない中、彼なりの精一杯で、まりあを大事にしていた。
それは、まりあにちゃんと伝わっていたのだ。

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