That's because I love you.
「…ちょっと落ち着けば?深呼吸でもして。」
「…は、はい…っ。」

素直に深呼吸を始めるまりあに、危うく吹き出しそうになる。

「…で?君は何で僕の名前を知ってるのかな?」
「ぁ…実はあの、書類を拾った時にですね、名前を見ちゃって…。」
「へぇ。」
「勝手に見てほんとにごめんなさい…っ。私、望月まりあっていいます…。」
「勝手に名前教えてくれたね。」
「…ふぇぇぇ…っ!ごめんなさいぃ…!」
「…何回謝ってるの、君。」

我慢出来ずに吹き出して笑うと、目の前のまりあの赤い顔が更に真っ赤に染まる。

(……ん…?)

ある予感が少し頭によぎった所で、うつむいた彼女から切り出される。

「…あの…。お話があるんです…。」
「…何?」
「えと…ここじゃ話せないことなので、裏庭に来て…頂けませんか…っ。」
「…………。」

(……マジか…。)

その予感は、あっという間に確信に変わってしまった。
明広は少々困りながらも、ある違和感に気付く。
普段ならこのような男慣れとは程遠い女子は敬遠するのに、今は何故か、胸が異様にときめいていたのだ。

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