That's because I love you.
手を繋ぎ、明広の自宅のマンションへと向かう。
着くと明広はまりあを自室に連れて行き、ソファーに座らせる。
コーヒーの他にレモン系の飲み物が好きなまりあのために買っておいたレモネードをグラスに注ぎ、彼女に渡す。
礼を言いレモネードを飲み始める彼女の横に、自分も座った。

「…落ち着いてきたー?」
「…はい。明広さん…ほんとにありがとう。」

弱々しく笑うまりあを、明広はちらっと見やる。

「…………。」

"…明広さん以外の男の人なんて…やだぁ…っ!"

どこまでも自分に一途なまりあの言葉を思い出すと、隣でちびちびとレモネードを飲んでいる彼女がぐんと可愛く見え、つい触りたくなってしまう。
片手でそっと肩を抱き撫でてやると、まりあはぴくっと体を震わせた。
彼女の手からグラスを取り上げテーブルに置くと、額にキスを落とし、両手で肩や腕を優しくさする。
まりあはかぁっと頬を染めうつむくが、全く抵抗しない。
先程までの落ち込んでいた雰囲気は消え、代わりにその表情に浮かんだのは緊張と、恥ずかしさから来る照れとーーー。

(…嬉しそー…。さっきの二人に肩抱かれてた時と、大違いじゃん。)

「…さっき、怖かった?」
「……、はい…。」
「…今は?僕に触られて、どう?…怖い?」
「…怖く…ないです。…全然…っ。」

ふるふると首を振るまりあに、きゅんと胸が高鳴る。

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