That's because I love you.
たまのトラブルも秒で解決!
二人が付き合い始めて、約三ヶ月が経った。
華の話では明広は"浮気も悪気なくやってのける最低な男"の筈で、実際彼は、まりあと付き合い始める以前はその通りの悪行を働いていた。
しかしまりあを彼女にしてからは、明広は一度もまりあ以外の女性と遊んでいなかった。
以前とは様子が違う彼に周りの人間は大層驚き、最近では、"御木本明広がついに女遊びをやめて一途になったらしい"と噂が立つまでになっていた。


そんな折、8月の夏休み中のある日。
大学で行われた特別講義を終えた明広は、講義で配られた書類に目を通しつつ、森と共に廊下を歩いていた。

「今日もあっちいな~!なぁ御木本、さっきの講義のレポート手伝ってくんね?」
「やだよ。自分でやれ。」
「ちぇ~。この前は試験のヤマ教えてくれたじゃん~。」
「森が勝手に僕のノート見たんだろ。」

森は初めは、男慣れしていないまりあが明広に傷付けられていないか心配で、明広を追い掛け回し監視していた。
しかし二人が予想外に仲が良いと知った今では、森の中の明広への悪い印象は少しだが薄れ、それと同時に、長い間付きまとった明広に少しばかりの友情が芽生えていた。

一方明広の方も、どんなに冷たくあしらっても全く堪えずしつこく話し掛けて来る森に、少しずつ心を許す様になっていた。
それに伴い、森に対する際の口数も微妙に少しずつ、増えていた。
明広自身に、その自覚は全く無いのだが。

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