That's because I love you.
「…まりあ。」
「…明広さん…っ!あれ、明広さんも特別講義ですか?」
「そ、さっき終わった。一緒に帰る?」
「…!はい~っ!!」

明広の言葉にぱぁぁ~っと顔を輝かせるまりあを見た森は、思わず苦笑してしまう。

("大袈裟な反応"か…ちょっと納得。まりあちゃん、御木本と会えて滅茶苦茶嬉しそ~…。)

「ぁ…!森さんもこんにちは~。」
「こんにちは~まりあちゃん♪なーに、今からコイツとデート~?」
「え…えと、デートというか、一緒に帰…」
「俺も駅まで一緒してい~っ?」
「やだよ。お前と一緒に歩くの恥ずかしいし。」
「何でだよ!?」
「ギャーギャー騒がしいから。」
「んだと~!?つか、俺はまりあちゃんに訊いてんの!何でお前が答えんだよ!」

お調子者の森と冷徹な明広の相変わらずな会話に、まりあはふふっと楽しそうに笑っていた。
それに気付いた森も、思わず頬が緩む。

(…まりあちゃん、本当に幸せそうだな。御木本も何だかんだ言って満更でもないみたいだし、まりあちゃんが傷ついてないなら、もう少し温かい目で見守ってやろう…。)

森がそう思ったのも束の間。

「見つけた、明広~っ!!ね~彼氏と別れちゃったよぉ、慰めてぇ~!」

派手な化粧と服装の女性がそう甲高い声を上げながら、後方から明広の腕に抱きついてきた。
突然のショッキングな光景に、まりあはカキンッ、と固まってしまう。
ついでに森も、ガビーンと固まった。

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