That's because I love you.
「…はぁ?今彼女居るし普通に無理。」
「知ってるよ~!この子でしょ?あたしとは三週間しかもたなかったのに、こんなちんちくりんなお子ちゃまみたいな子とどんだけ付き合ってんのよぉ!」

しかもこのギャルは、明広の元カノらしい。
大好きな明広の腕にぴったりとくっつく元カノの姿を目の前にし、流石につらいまりあはうつむいてしまう。

(うわぁぁ~…ッ!つらい、つら過ぎるよなこんなの、まりあちゃん!元カノなんか話題にするのすらタブーなのに、目の前でこんな…!)

森はガタガタと震えた後、明広を"何とかしろ"とばかりにギロォッと睨み付ける。
そんな森の視線に全く気付かない明広は、元カノを引き剥がそうと奮闘しつつまりあを見やる。
まりあは悲しそうに歪めた顔をうつむかせ、肩を震わせていた。
それを見た明広の胸は、ズキッと激しく痛む。

(……そんな顔するな。こんな女、僕は心底どうでもいいんだよ…。)

ーーー早く、一刻も早くまりあの誤解を解いて慰めたい。
数分前までの可愛らしい笑顔に、戻ってほしい。
そのことしか頭に無くなった明広は、元カノの腕を掴み力づくで引き離す。

「痛ぁ…っ!」
「…君とはとっくに別れたし、もう一生関係を持つことはないよ。今すぐやらなきゃいけないことがあるからもう行く。」
「ちょ、ちょっと…どうしちゃったの!?あの噂ってマジな訳!?明広ぉ…!」

まりあの手を取り引っ張って行く明広を、残された元カノと森はぽかんと見つめる。

(…まぁ…あの場のフォローとしては、最善を尽くしたかもな…。まりあちゃん、元気になると良いけど…。)

森はまりあを心配しう~んと唸りながら、その場を離れた。


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