That's because I love you.
明広は手近な資料室にまりあを連れて入ると、鍵を掛ける。
未だうつむいているまりあの頭を、優しく撫でてやる。
「…まりあ。いつまで下向いてんの。」
「………。」
「…泣いてる?」
「……っ…。」
まりあはふるふると首を振る。
まりあは声を出そうと努力していたが、熱い喉に詰まって中々出てこないのだ。
その小さな体がかたかたと震えていることに気付いた明広は、堪らず彼女を抱き締める。
「…ごめん。…傷つけたね。」
「………!」
「…さっきのはさ、元カノなんだけど…バカな女だからああいうこと平気でするんだよね。でもさっき言った通り、あれに未練とか欠片もないから。…今、まりあ以外の女に行く気はないよ。つらい思いさせてごめんね。」
「……。…明広さん…。」
明広はまだまりあに対しての恋愛感情を自覚しておらず、そして彼は良くも悪くも、嘘を吐かない性格である。
そのため明広の口からはこういう時でさえも、"好きだよ"などという誤魔化しの言葉は出てこない。
明広が恋愛感情でなくともまりあを大事に思っているのは本当で、その言葉を言ってまりあの機嫌を取るのは簡単なことだが、彼はそれをしないのである。
それでも、明広の言葉が全て本心からのものであると知っているまりあは、彼の自分への気遣いの言葉と、"まりあ以外の女に行く気はない"という言葉に安心する。
彼の背中に両腕を回しぎゅぅっとしがみつくと、堪えていた涙がぽろぽろと溢れ始めてしまった。
「…ほらほら。そんなに泣くことないでしょ。」
「…だって…。ホッとしたら、何か込み上げて来ちゃって…っ。」
「…不安はもうない?」
「…はい…っ。」
「よかった。悲しい涙じゃないなら、もう少し泣いててもいいよ。」
「……ふぇぇ…っ。明広さん…っ。」
「はいはい。」
「…明広さぁん…っ。」
まりあはひっくひっくとしゃくり上げ続け、全く泣き止む気配がない。
明広は思わず苦笑しつつ、ゆっくりと腕を緩める。
未だうつむいているまりあの頭を、優しく撫でてやる。
「…まりあ。いつまで下向いてんの。」
「………。」
「…泣いてる?」
「……っ…。」
まりあはふるふると首を振る。
まりあは声を出そうと努力していたが、熱い喉に詰まって中々出てこないのだ。
その小さな体がかたかたと震えていることに気付いた明広は、堪らず彼女を抱き締める。
「…ごめん。…傷つけたね。」
「………!」
「…さっきのはさ、元カノなんだけど…バカな女だからああいうこと平気でするんだよね。でもさっき言った通り、あれに未練とか欠片もないから。…今、まりあ以外の女に行く気はないよ。つらい思いさせてごめんね。」
「……。…明広さん…。」
明広はまだまりあに対しての恋愛感情を自覚しておらず、そして彼は良くも悪くも、嘘を吐かない性格である。
そのため明広の口からはこういう時でさえも、"好きだよ"などという誤魔化しの言葉は出てこない。
明広が恋愛感情でなくともまりあを大事に思っているのは本当で、その言葉を言ってまりあの機嫌を取るのは簡単なことだが、彼はそれをしないのである。
それでも、明広の言葉が全て本心からのものであると知っているまりあは、彼の自分への気遣いの言葉と、"まりあ以外の女に行く気はない"という言葉に安心する。
彼の背中に両腕を回しぎゅぅっとしがみつくと、堪えていた涙がぽろぽろと溢れ始めてしまった。
「…ほらほら。そんなに泣くことないでしょ。」
「…だって…。ホッとしたら、何か込み上げて来ちゃって…っ。」
「…不安はもうない?」
「…はい…っ。」
「よかった。悲しい涙じゃないなら、もう少し泣いててもいいよ。」
「……ふぇぇ…っ。明広さん…っ。」
「はいはい。」
「…明広さぁん…っ。」
まりあはひっくひっくとしゃくり上げ続け、全く泣き止む気配がない。
明広は思わず苦笑しつつ、ゆっくりと腕を緩める。