恋を知った日
と微笑みながら海が健に話しかけた。
「海は夏葉の事甘やかしすぎだぞ。もっとこいつには厳しくしないと。」
「甘くなんてないよー。この前だってクレープ3つ買おうとしたら止められたし。」
「それは誰でも止めるぞ。」

と息があったようにツッコミを入れた。
「てか話それたけど祭りっていえば七夕祭りあるよな。なな夏葉は誰かと行くのか??」

と少し噛みながら夏葉に言った。
「んー??今年も海と行く予定だよー。」
「そっか。」

と少し寂しげな様子を醸し出した。
その雰囲気を汲み取ったのか海が
「なっちゃんごめんね〜。今年は部活でみんなで行くから行けないんだ。」
「えぇー。海行けないのー??」
「ごめんね。」

と言い終わると健に目配せしてきた。
海には何もかもバレているらしい。
海に目配せし返して返事をすると
「そしたらさー一緒に行かね??親から店のチケット貰って余ってるんだ。」
「健とかー。んー」

と少し悩んだ様子を見せた後
「なっちゃんいいんじゃない??たまには安西君と言ってみるのも。」
「確かに小学校から健といってないからなー・・・よし!!今年は健と行こー!!」
「おっけー。そしたら時間とかはまた連絡する。」

と言いながら健は教室の外に出ていった。
(きっと安西くん嬉しいだろうな〜)

海の予想通り健はとても喜んでいた。
拳を握りしめ、喜びを爆発させていた。
(よっしゃぁぁぁぁー!!!!!!良かったー!!!!!!)
傍から見たらただの変なやつだが今の健には気づく素振りもない。
「健〜何喜んでだよ〜」
「いやそれがさー。なつ・・・」

ふと正気に戻った時横には同じサッカー部の大輝がいた。
「ん??夏がどうしたって??」
「いやっ。あの・・・。夏休みのライブに当たってて。」

上手く誤魔化せたか??と心配していたが
「おぉー!!良かったな!!お前あのアーティストめっちゃ好きだもんな!!」

と返事をしてきた。上手く誤魔化せたみたいだ。
大輝はサッカー部の正キーパーで少し天然な所がある。だが試合になると頼れる守護神だ。
ちなみに彼も彼女はいない。
だが気になる相手はいるらしい。
「なな。ほんとに海ちゃん音楽部と行くんだよな??」
「本人はそう言ってたよ。」
「んなあぁぁぁぁ!!誘ってデートにするつもりだったのにぃいぃい!!」

と奥歯をかみ締めながら声に出した。
7月7日の七夕祭りは後1月程だ。
試験もあり、意外と時間は少ない。
来年は大学受験を控えており、絶対に今年中に夏葉に思いを伝えたい。
そう心に決心したと同時に鐘がなり、急いで席に戻った。

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