夜を照らす月影のように#3
懐かしい悪夢、僕の幼なじみ
『修也(しゅうや)、この本結構面白いよ!』

そう言って、彼は僕に本を差し出す。僕は『ありがとう』と言って、彼から本を受け取った。

『『それは、綺麗な青色だった』?どんな物語なの?』

『この本の著者は、ノワールって人が書いたんだけど、修也が好きそうな話だったよ』

そう言った彼は、簡単に本の内容を教えてくれる。

うつ病を患った青年とその青年の親友の切ない友情ものらしい。

『面白そうだね……』

僕は彼から本を受け取ると、本を読み始めた。

……確かに、この本は面白いな……。

僕が本を読み終わって顔を上げると、僕の隣では寝息を立てて彼が寝ている。

……寝ちゃった……でも、幸せだ。彼の隣にいるだけで、胸が温かくなる……この感情は、一体何なのだろう。

僕が彼を見つめながら微笑んでいたその時、急に彼は化け物へと変化する。

『……っ!?』

化け物は僕と目を合わせると、僕に向かって爪を振り下ろした。



「……っ!」

僕が飛び起きると、そこは自分の部屋で僕はすぐにさっきまでの出来事が夢だったと気づく。

……夢、か……そう、だよね……僕が転生してから書いた『それは、綺麗な青色だった』が前世で暮らしてた世界にあるわけないし……。
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