夜を照らす月影のように#3
「リオンさんと2人で、先生の帰りを待っていたんだ」

リオンの近くにいるエリカさんに目を移すと、エリカさんは心配そうに僕を見つめていた。

「ノワールが無事で良かったよ……それで、えっと……」

リオンは、僕の隣にいるメルに目を移す。メルが口を開いた時、たまたまリビングにいた父さんが「ノワールの隣にいる君と、2人きりで話したいのだが」とメルを見つめた。

「……僕ですか?」

メルの言葉に、父さんは「そうだ」と頷く。メルは、微笑むと「構いませんよ」と父さんと一緒に部屋を出ていった。

……もしかして、メルが異世界から転生してきたってことを知ったのかな?

「じゃあ、僕から彼のことを説明しようかな。彼は、メルキュール。この『それは、綺麗な青色だった』に閉じ込められていたんだ」

「メルキュール……どこかで聞いた事のある名前だな」

「あ、もしかして……あの詩人の?」

何かを思い出したらしいエリカさんの言葉に、リオンは「それだ!」ハッとした顔をする。

しばらくメルの詩の話で盛り上がっていると、リビングの扉が開いてメルと父さんが姿を現した。

「……大分、僕が書いた詩の話で盛り上がってたみたいだね」
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