俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「───エマ、」
「わっ…!」
言葉と一緒に引かれた手は、すごく強い力だった。
また抱きしめられちゃうのかなって予想を大いに外してくるなんて。
「…っ、んっ」
え、……え…?
ぜったいだめなやつ、これだけは想像すらしていなかったものをされてる…よね…?
「ん…っ……!?」
柔らかくて優しい感触。
何よりも甘くて、とろけるものだ。
それは唇から唇へと伝わる熱。
「………え……、はや……せ…?」
「───…無理だ」
なにが……無理なの……?
どうやらわたしのファーストキスは、何よりも格好良くてエリートな執事に奪われた……らしい…?
それでも離れた唇に後悔をしてるわけでも悪く思ってるわけでもない、目の前の男。
「……最高の誕生日になりました。帰りましょう、エマお嬢様」
それっておにぎりのこと…?
四つ葉のクローバーが貰えたこと…?
それとも───…キス、しちゃったこと…?
「ハヤセ、…ハヤセ、」
「どうかされましたか?」
「…手、」
「…まだ誕生日は終わっていませんから」
ふわっふわだ。
わたし意識ある…?おーーい、エマーーー。