俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




「今日だけ一緒に寝てくれませんか」



まさかすぎるーーーっ。

それはまさかすぎるから、いつもの調子で「うんっ」なんて言えるわけもなくて。



「えっ、寝るって……」


「俺のベッドで一緒に」



だって今日だよ?

あのまま静かに帰宅して、夕食を食べて、サプライズのケーキだって出して。

彼はいつもどおりだったけど……わたしは意識なんか半分も無かった。


それに、まだ今日なんだよ…?



「えっ、わっ、いや!今日はいっぱい疲れてるだろうから…!」


「だからです。それにまだ俺の誕生日は終わっていないでしょう?」


「……た、確かにだ…」



嘘がつけないわたしの素直な性格が言葉になって飛び出すと、彼は甘く微笑んだ。

そう、優しさに甘さが追加されてしまって。


だってキスしたよね…?
あれは夢じゃないよね……?

それで一緒に寝るなんて……。



「大丈夫です。なにもしませんから」


「……したもん、さっき」


「…さすがにあれはするでしょう」



えっ、なんか開き直ってる?
お兄さん開き直っちゃってます……?

それが余裕ってやつ?大人の。



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