俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
脅威の婚約者
「おはようハヤセっ」
「…おはようございます、エマお嬢様」
……ん?
いつもはわたしより先に挨拶してくれるのに…どこか元気ない……?
「エマお嬢様、今日は…学校をお休みしませんか?」
「えっ!?なんで!?執事がそれ言っていいの!?」
「…駄目ですね」
だよね!?
なんかちょっといつもより様子が変なハヤセだ…。
それにわたしって普段でも成績悪いから、せめて皆勤賞は欲しいところってのもあって。
だからお休みするわけにはさすがに…。
「わっ、」
「…少々お熱があるんじゃないかと」
今度はふわっと触れてくる。
おでこにひんやりしつつも温かい手のひらが重なった。
「すっごい元気だよ……!?」
「お休みしましょう、お嬢様」
「だめだめっ!勉強しなきゃっ!」
お休みしましょう、じゃなくて。
お休みしてください、に聞こえるんだけど…。
ハヤセどうかしたのかなぁ。
「ハヤセ、今日って何かあるの?」
「…いえ。とくにはないんじゃないかと」
「そう?」
じゃあハヤセ、なにかあったの…?
いつも落ち着いている執事がどこか落ち着いていないみたいで。
なぁんて考えながら猫ちゃんにご飯をあげる毎日の日課を終えて、教室へ向かった朝。