俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「ふんっ、アリサさんの代わりなんてあなたには無理ね」
「女はおしとやかな性格と美貌が大切なんだから」
きっと彼女たちが笑っているのは、わたし本人含め制服姿もあるのだろう。
指定の制服は深緋色のブレザーに、上品な緑のチェック柄をしたフリル型ミニスカート。
だけどわたしはスカートがどこか落ち着かなくて嫌で。
「確かにスカートなんか履いたら、あの破壊神なら1日で破いちゃいそうだものね」
「ふふっ、確かに言えてるわ」
同じ柄をしたショートパンツ。
それはわたしのためだけにオーダーメイドしたものだった。
「パンツ見せびらかしてる先輩にだけは言われたかないですよーーだっ」
「なっ…!下品よあなた…!!」
「それだからいつまで経っても子供なのよ…!少しは女らしくしたら?」
言わせとけ言わせとけ、勝手に言ってればいい。
わたしはこっちのほうが動きやすくて走りやすくて気に入ってるんだからっ。
「ゴホンッ、皆さんおはようございます。夏休みはいかがお過ごしでしたかな」
ステージに立った学院長の長い長い夏休み明けの挨拶が始まった。
そしてそこでもクスクス聞こえる。
だけど今度のそれはわたしに対してじゃない。
それなのに学院長の目はわたしだけを睨んでいた。