俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「柊家の娘じゃなければ即座に退学だったものを……」
ほら、またその台詞だ。
聞き飽きちゃったよ、毎日毎日だもん。
「柊 アリサ君の妹ならばもっと慎ましやかにしたらどうなんだ!」
「いーのっ!わたしは昔っから柊家の落ちこぼれだから!」
「自慢気に言うな馬鹿者!うちの学校の価値を下げとるのが分からんのか…!!」
事故に遭って入院しているお姉ちゃん───柊 アリサ(ひいらぎ ありさ)は、面会ができないほどにかなりの重症。
本当は御曹司に嫁ぐ話が出ていたらしく、相手側とも話を詰めていた。
それでも事故の影響で破棄になりつつあって。それは柊財閥にとってかなり痛いことだという。
だからこの学園に通って礼儀作法を身に付けたわたしを姉の代わりにするつもりなのだ、わたしのお父さんは。
「あっ!いいこと思いついたよ学院長!」
「…なんだ?」
「マジック!油性マジックで書いちゃえばいいの!
そーいうのはちゃんと隠すことが大事だから、なんだったらわたしが上手に書いて───」
「こっんの問題児…!!職員一同に申す!柊 エマには誰よりも厳しくしてくれ!!」