俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「この大きい雪だるまはハヤセね!」
「ではこちらの中くらいのほうはエマお嬢様ですか?」
「そうっ!」
たまに思うときがある。
こうしていつもいつも付き合ってくれて嫌じゃないのかなぁって。
無理してない?
子供っぽいって、本当は嫌気がさしたりしてない…?
「ではもうひとつ、一緒に作ってもいいですか?」
「もうひとつ?」
「はい。それはあまり大きくないもので大丈夫です」
それでもわたしの不安すら見破っているかのように、けれどだから楽しませてくれてるって空気感もなくて心地がいい。
それが早瀬 真冬という人だ。
今の季節はあなたのためにあるねって笑ったわたしに、熱のこもった微笑みが返された。
「あっ!なんか親子みたいっ」
「ええ。そのつもりで作りました」
3つ並んだ雪だるま。
マンションの外、車の通らない広場となっているスペースの端っこ。
こうして並べるとお父さんとお母さん、その真ん中に子供がいるみたいだ。
「じゃあこれがハヤセ、こっちがわたし、この子はわたしたちの子供ってなるねっ!」