俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
やっぱり一緒にお片付けしてって言えば良かったと大後悔だ。
このまま海に出れそうだ。
ずーっと先まで旅に行きたい気分だ。
……それは大航海だ。
「さすが早瀬くん!私がステップを合わせなくて良いパートナーは初めてよ?」
「いえ、先生が俺を誘導してくれているんです」
なんで触ってるの?
なんで手を繋いでるの…?
腰に腕なんか回しちゃって、距離近すぎじゃない……?
とか思ってるけど「わたしも見たいっ」と、満更でもなく許可を下したのは他でもなく己なわけで。
だから責めようにも責められなくて、こうして大人しく雑巾がけをしてる。
「当日はあなた達も初めて顔を合わせる男性と踊るわ。
基本ができてさえいれば、誰が相手だとしても大丈夫だからしっかり励みなさい」
「「はいっ!!」」
……ってことは、もしかしてあの脅威の婚約者も来ちゃったり…?
いいやそれはないっ!!
もし来たとしても、ぜったい追い返してやるんだから…!
ぶんぶんと大きく首を横に振って、脳内のそいつをせめてもと抹消した。
「ハヤセ!おかわりっ!」
「かしこまりました」
「ちょっと!あんた食べすぎよ!」