俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
笑みをこぼしながら快く了承してくれる執事、隣に座って呆れたように言ってくる友達。
それがいつからかの昼食の取り方になっていた。
「ですがエマお嬢様、よく噛んで食べてくださいね」
「うんっ」
「それからお腹いっぱいになって次の数学の時間に居眠りしては駄目ですよ?」
「う、うんっ!」
でも美味しいんだもん、このローストビーフ!!
ついご飯を何杯もおかわりしちゃってる平常運転だけど、理沙いわくローストビーフとご飯を一緒に食べる子はわたしくらいだと。
そんなのいーの!
美味しいものは美味しいんだもんっ!
「というよりバカエマ、あんたダンス大丈夫なの?」
「うっ、…大丈夫じゃない」
「でしょうね」
でしょうねって、それも失礼だけどあだ名が“バカエマ”ってのもどうかと思う…。
けれど嫌味なく話してくれている空気感があるから、嫌われてはないはずだ。
今だって一緒にご飯食べてくれてるもん。
「あんたの場合は踊ってくれる人がいない心配もあるけどね~」
「…誘われないとどうなるの?」
「さぁね、ずっと1人で立ってるだけなんじゃないかしら」