俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「ハヤセ…っ?どうしたの…?指、噛んじゃったよわたしっ」
「…駄目ですよ、やっぱり」
「だよね…!?指は噛むものじゃないもんね…!?」
そりゃだめだよねっ!?
でもハヤセがそんなことするから……って、なすりつけても意味ない。
「いいえ、噛まれたことは問題ありません。…むしろ俺がそうさせたんですから」
「じゃあ…なにがだめなの…?」
「行かせたくないのです。…誰にも見せたくない」
苦しそうで、切なそうで。
そんなふうに言われちゃったら、「じゃあ行かない」って言いたくなっちゃう…。
わたしだって知らない男と踊るくらいなら、あんな最低な婚約者と踊るくらいなら、ハヤセと2人でいたい。
「それくらい今のエマお嬢様は…いつも以上に可愛すぎるんです」
「…ハヤセの力だよ?」
「いえ。俺はあなたが本来持っている魅力を引き出しただけに過ぎません」
それも十分すごいことだと思うのに。
それにハヤセが思ってるほど、わたしってそんなだよ…?
ただいつもはショートパンツだけど今日はドレス姿とか。
髪とかメイクとか、普段と違うから新鮮に映るだけで。