俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「ハヤセは、夜に輝くお月さまとかお星さまが似合うね」
「…初めて言われました。エマお嬢様は好きですか?…月や星」
「うん、…月、きれい」
「…はい、手が届きそうですね」
え、手…?
すごくロマンチックなこと言うんだねハヤセって。
「イタリアでもよく月を眺めながらバイオリンを弾いていました」
わぁ……想像できる。
オシャレすぎて似合いすぎちゃって、実際そんなハヤセを目の前にしたら見惚れるを通り越しそうだ。
そのまま浸透しちゃうくらい闇に溶け込みそうなのに、キラキラ輝いてるね、きっと。
「イタリアは…どんなところ?」
「…あまり女性が1人で歩いていたら危ない場所です」
「そうなの…?あ、マフィアとか…」
「はい。それもいますね」
時間なんか止まればいいのに…。
もう何も考えたくない。
明日からのことだって、さっきの舞踏会の全校生徒の目だって。
「…いつか、一緒に行きませんか?」
「わたしと…?」
「はい、エマお嬢様と行きたいのです。俺が住んでいた場所を案内させてください」
それはきっときっと楽しいね。
でもイタリア首相が暮らしてる豪邸とかだったら気が引けちゃうなぁ…。
「困ったな、…中々雨が止みませんね」