俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「誰の執事になるかは決めたの?」
「えぇ、最初から彼女に会いに来ているので。予定どおり確定しました」
「あら、ほんとに?じゃあ選ばれた子はすごい子ね」
だってあなた、17歳で執事学校を首席で卒業したSランク執事だもの───。
先生のそんな、つぶやき。
「ええ!?そうでしたの!?」
「首席!?Sランク執事ですって!?3年生の執事だとしても最高はAランクなのよ…!?」
クラスメイトはみんなしてミシンの手を止めて、Sランク執事を見つめた。
それでも飄々とした面持ちで変わらず姿勢良く立っている。
Sランク……。
すごい、やっぱりそうだったんだ…。
「お名前はなんて言いますの!?」
「誰の執事になるんですか!?」
「もしかしてアリサさんじゃないかしら!」
質問攻めだ。
でもお姉ちゃんはまだ入院してるから、それはないはずだけど…。
「こらこらあなた達!授業に集中なさい!」
先生の一言にお嬢様たちは大人しくミシン作業に戻った。
聞き分けがいいのは、礼儀作法を徹底している高校だからこそ。