俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
姉妹と執事の過去
「ハヤセっ!ハヤセ!回ってる…!本当に回ってるよ…!」
「エマお嬢様、案内されるまで待合席に座りましょうか」
「うん!」
やってきたぞ回転寿司。
とうとう夢にまで見た回るお寿司が目の前。案の定、盛大にはしゃいでしまってるわたし。
あれからもちろん先生には怒られて生徒には笑われて、だけど退学にはならず、無事に春休みを迎えることができた。
それもハヤセのおかげなのかなぁ…。
「ねぇすっごい格好よくない……!?」
「いいなぁ~!私もあんな人とデートしてみたい~!!」
デート……?
もしかしてわたしたちのこと言ってる…?
それに相変わらずハヤセは女の子の視線を奪ってしまって。
それもそうだ、わたしのお願いで私服姿なんだから。
さすがに執事の格好だと浮いちゃうだろうからって。
「っ、」
肩がコツンとくっついた。
この時期の回転寿司は、待合席も幅広いお客さんでぎゅうぎゅう詰めらしい。
「わっ、」
わたしの右隣に座ったおじさんから離れさすように引き寄せられた。
肩に回された手、それだけで舞踏会の不思議な夜を思い出してしまう…。
だって……キスしちゃったもん~~~っ!!
2回目だよね……?
1回目のときよりもちゃんと記憶がある。
「ふっ、」