俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




「た、ただいまーーっ!」



ここは元気に、ここはいつもどおりに、違和感が何もないくらいに大きな声で。

ギィィィと開いた両開き式の大きな扉。



「エマお嬢様…!!」


「タカさんっ!」


「ご無沙汰しております。お元気そうで…!」



タカさんはわたしが小さな頃からいる、柊家に仕える使用人の1人だ。

小さな頃はわたしのお世話係のようなものだったから、かなり困らせちゃってたと思う。


それでも今も本当の家族よりも誰よりも先にわたしに気づいて駆け寄ってきてくれた。



「どうかされたのですか?旦那様に会いに?」


「いや、とくにどうかされたわけじゃないけど…!あっ!お姉ちゃんは来てたりする…?」



そんなわたしの言葉に、一瞬だけ何かを考えるように黙りこくってしまった。

どこか複雑そうな顔で何かを言おうか辞めようか悩んでる顔だ。



「…はい、アリサお嬢様はお部屋におられますよ。ですが今日は旦那様もいらっしゃいます」


「…じゃあお父さんにも挨拶しようかな」



正直、気が重くて重くて仕方ない。

どうしてこーいうときに限って居やがるんだ…と。



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