俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「いいか、必ず柊と早乙女を繋げろ。お前にはそこだけは期待してる」
最初はわたしの存在は隠されていたらしい。
その一般女性が秘密にして産んだ赤ちゃんが、ある日この大きな屋敷に届けられて。
それからお父さんは自分の肩書きを汚さないためにわたしの存在を周りに隠してたんだって。
『エマ、あなたはわたしのかわいい妹!』
だけど、お姉ちゃんだけは優しかった。
半分だけ血が繋がっているお姉ちゃんは、わたしといつも一緒にいてくれて。
だからわたしだって彼女のことが大好きだった。それは今も変わらない。
「───…お姉ちゃん、」
久しぶりに入った姉の部屋は、相変わらず綺麗に整頓されていた。
白で揃えられたアンティーク調の家具は所々にこだわりが見えて。
そんな場所に1年以上会えなかった実の姉が、窓際にて清楚なワンピース姿で立っていた。
「あら、こんにちは」
「こ、後遺症って、怪我はもう大丈夫なの…?」
「えぇ。みんなに心配かけちゃった」
変わらない、やっぱり優しいお姉ちゃんだ…。
学校ではみんなあんなこと言ってくるけど、彼女は紛れもなく私のお姉ちゃんなのだ。