俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




その体勢のまま抱き上げられた。

ひょいっと抱っこされて、今度は背中の柔らかいソファーに落とされる。


ふわっと跳ねた反動を閉じ込めてくる両腕は、上に微かな重みも連れてきた。



「っん、…ん、」



ちゅっ、ちゅっ、と。

軽くて可愛いものが弾けたキスは、どこか物足りなさを全身から出させてくる。


わざとだ、ぜったいわざと。

もじもじっと脚を動かして、そうして伝えてみても伝わってくれない。



「ハヤセ…、もっと、さっきみたいなの…、」


「…なら言ってください。でなければ俺はしません」


「ズルいよ……っ、やだ、して、」


「っ、……なら、言ってください」



ハヤセだって本当はしたいくせに。

吐息だって重くて、熱くて、手の熱だって唇だって、その目も。



「んふぁ…っ、」



きゅっと唇を結ぶと、指で割り入れるように無理やりに開けさせられる。

口内をまさぐる指、耳を甘噛みするように落ちてくる欲望にまみれた舌。


わざと音を響かせて、そうやって刺激をどんどん与えてくるから。


ハヤセがすき、大好き、わたしだけのって気持ちが溢れそうになる。



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