俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
そんなの一々聞かないで、質問しないで。
どんな顔であなたはそう言ってるの。
ハヤセよく分からないよ。
ハヤセだけはずっと一緒だって思ってた。
ハヤセとだけは、誰にも負けない強い絆を作れるって…。
「エマお嬢様、なにがそんなに悲しいのですか?」
「…っ、聞かないで…っ、バカ…!きらい、みんな嫌い……っ」
キス、してくれたのに。
たった今までわたしの中のドキドキはハヤセでいっぱいだったのに…。
「わたしは、…破壊神は……、ハヤセにも逃げられちゃうんだね…」
一瞬だけ目の前の瞳がハッと揺らいだ。
だけどすぐに執事のものへ戻す姿は、間違いなくSランク執事だった。
わたしが知る、わたしが好きなハヤセじゃなく、もっと位の高くて相応しいお嬢様の隣にいなければいけない執事。
「お姉ちゃんは、すごく頭も良くて優しくて秀才だから…ハヤセもすぐに仲良くなれるよ、」
というより許嫁だったなら一瞬で打ち解けちゃうはずだ。
お姉ちゃんもあなたの名前を嬉しそうに呼んでたもん。会いたいって言ってたもん。