俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
*・意地悪な執事様。*・
執事じゃないくせに
「ふふっ、ねぇあれ見て?仲良くお散歩してるわ」
「あんなの介護じゃないの」
「でもさ、身の丈に合ってるわよね~。まぁ簡潔に言うと、」
お似合いじゃないの───。
おっほっほっと、いい気味だと。
そう聞こえる女子生徒の声は、わたしを馬鹿にしていたけれど内心はホッとしているようで。
やっぱりわたしには出来すぎた執事だったのだと、今は隣にいない早瀬 真冬という男のことを考えてしまった。
高校2年生になって、わたしは相変わらずな日々を過ごしていた。
変わったことと言えば大きく2つだけ。
「ねぇおじいちゃん!あの小鳥、尻尾みたいなのがついてるよ!」
「おぉ、あれはイシタタキじゃな」
「いしたたき?石を叩くの?」
「そうじゃよ。セキレイとも呼ばれておってな、地面をその尾で叩くからイシタタキ、なんて呼ばれてるんじゃ」
へぇ~。
なんか単純な名前だけど逆に覚えやすくて面白いなぁ。
ちなみにここは老人ホームではございません。
確かにわたしはタキシード姿の杖をついた老人と中庭の花園をお散歩しているお昼休みですが。
もう1度言います。
ここは老人ホームでもデイサービスでもありません。