俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
とりあえず困惑がすごいだろうから時間を戻してみようと思う。
それは今から数週間前、高校2年生の1学期が始まった朝のこと───
「あれぇ?破壊神、早瀬さんはどうしたのー?」
「いつも一緒に教室来るじゃない。ひとりなんて可哀想~」
「噂で聞いたけど、また執事が変わるんだって?」
知ってるならわざわざ言ってこなくていいのに…。
朝から朝から暇な奴らだなお前らっっ。
「だったらなに!!別にいーもんっ!今日からどんな執事が来るのか楽しみだなぁ~!」
「ふふっ、白々しい。早瀬さんもこれで無事に元の場所に戻れたのね」
「アリサさんの執事だなんてお似合いすぎて納得だわ~。
やっぱりあんたは早瀬さんにとってもアリサさんの代わりってことだったのね」
……そうでーす。
図星すぎてぐうの音も出ませんよーだ。
専属執事だった男が荷物をまとめてマンションを出て行ったのは、昨日。
まるで夢が覚めてしまったかのように、今日からわたしはそれまでの日々に逆戻りだった。
「私はバカエマと早瀬さんの組み合わせ、案外似合ってたと思うわ。ねぇ碇」
「はい、私もそう思います」