俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




───そんなわけで、今に至る。


ハヤセのように授業を助けられることは無いけど、でもこうして休み時間にまったり歩く時間は楽しい。

本当のおじいちゃんとお話してるみたいだ。

イシタタキのことみたいに、いっぱい色んなことを教えてくれる。



「きゃ~~!アリサさんよ!!」


「ごきげよう、みんな」


「今日も素敵ですアリサさんっ!」



そして変わったもう1つはこれ。


この高級レストランのような食堂がいちばん嫌いだ。

ここは学年関係なく揃う場所だから、こうして会いたくない2人と鉢合わせてしまう。



「早瀬さんともお似合いだしっ!見てるだけでドキドキしてきちゃうわ!」


「ねー?どこかの代わりと違って!」



聞こえてる、わかってる。
そんなこと分かってるもんっ!!

それなのにどうしてわたしの近くにくるの……?


バチッと合った目をふんっと逸らしてやった。



「こんにちは、エマちゃん。ご一緒してもいい?」


「…うん」



実のお姉ちゃんなのに“エマちゃん”だなんて変だよ。

本当に覚えてないの?
忘れたふりとかだったら今なら許せるよ…?


そんな眼差しで見つめてみても、わたしが知っているものとは少し違う微笑みが返されてしまって。



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