俺の言うとおりにしてください、お嬢様。
「真冬くん、私はお肉は食べれないの。だから野菜だけでいいわ」
「はい。存じ上げております」
「ふふっ、さすが私の執事ね」
なにその会話……。
なにそのお互い分かってます感…。
そんなの見ながら食べるご飯なんか美味しくないよ、最悪だ。
「わっ!おじいちゃんこぼれてる…!ティーカップからズレちゃってる…!」
「おぉう、手が震えてしもて…」
「わたしが自分でやるから大丈夫だよ…!」
ティーカップに注がれなかったルイボスティーを布巾で拭いて、執事であるおじいちゃんを隣に座らせた。
「優しい娘じゃのぉ」と、孫を見るように見つめてくれる御子柴さんがわたしは大好きだ。
「一緒に食べよ!あのね、このサーロインすごく美味しいのっ!
でも少し噛み応えあるからわたしがカットしてあげるっ」
周りは介護だなんだとうるさい。
わたしがそうしたいからしてるし、御子柴さんに不満なんか何ひとつ無いんだから!!
そんなに笑いたかったら延々と笑ってればいいじゃんっ!!
「───エマお嬢様、」
「っ!」
なに、なんで来るの。
いつの間にかわたしの隣に移動して、スッと手を取られた。