俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




「真冬くん、私はお肉は食べれないの。だから野菜だけでいいわ」


「はい。存じ上げております」


「ふふっ、さすが私の執事ね」



なにその会話……。
なにそのお互い分かってます感…。

そんなの見ながら食べるご飯なんか美味しくないよ、最悪だ。



「わっ!おじいちゃんこぼれてる…!ティーカップからズレちゃってる…!」


「おぉう、手が震えてしもて…」


「わたしが自分でやるから大丈夫だよ…!」



ティーカップに注がれなかったルイボスティーを布巾で拭いて、執事であるおじいちゃんを隣に座らせた。

「優しい娘じゃのぉ」と、孫を見るように見つめてくれる御子柴さんがわたしは大好きだ。



「一緒に食べよ!あのね、このサーロインすごく美味しいのっ!
でも少し噛み応えあるからわたしがカットしてあげるっ」



周りは介護だなんだとうるさい。

わたしがそうしたいからしてるし、御子柴さんに不満なんか何ひとつ無いんだから!!

そんなに笑いたかったら延々と笑ってればいいじゃんっ!!



「───エマお嬢様、」


「っ!」



なに、なんで来るの。

いつの間にかわたしの隣に移動して、スッと手を取られた。



< 233 / 340 >

この作品をシェア

pagetop