俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




「おじいちゃんっ!今日も先にマンションに帰ってて!」


「じゃがお嬢さんは、」


「わたしは猫ちゃんにご飯あげてくるから!」



あの場所は老人が行くには少し足場が悪いところだから。

こうして放課後は先に帰っててもらうことになっていて。



「では気をつけて行ってくるんじゃよ」


「うんっ!おじいちゃんも!」



本当は逆にマンションまで送ってから裏庭に向かうほうがいいんだろうけど、ただ今日は雨が降りそうだから。

おじいちゃんに手を振って小走りに向かう。



「クロとシロっ!今日はちょっとだけ高いキャットフードなの!」



あっ、すごい。

いつもと食い付き様が全然ちがう…!



「おいしい?よく噛んで食べるんだよ?」



やっぱりこのカリカリ音は食欲を出させてくれると思う。

だから次にお姉ちゃんが食欲ないとか言ってたら、クロとシロを連れてきて目の前でご飯を食べさせればいいんじゃ…。


あーーもうっ!!

考えたくないっ!もう忘れる!!



「でもちょっとだけ大きくなったね」



初めて出会ったときより、クロもシロも凛々しくなったような気がする。



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