俺の言うとおりにしてください、お嬢様。




「猫、学校で飼ってるの?」


「え…、いや、野良猫で…わたしがいつもご飯あげてて、」


「そなんだ。かわいいね」



なに……これ……。

あなたに動物を愛でる心は存在していたの……?

人間を、女を、ペットに見てるような人だよ…?



「俺も触っていい?」


「…うん。あ、でも今はご飯中だから…食べ終わったらにしてあげて、」


「あー、確かにそうか。ご飯中に触ると怒るって聞いたことある」



え、言うこと聞いてくれた…。

あり得ない光景が近くにあって、わたしは理解が未だに追い付けない。


本当に信じて大丈夫…?
だって早乙女 燐だよ…?

どうしてこの場所にいるの、なんでわたしの前に来たの。


ただ、もっと驚くことがあった。



「───…髪、」


「…まぁ、イメチェン的な」



黒くなってる…。

あんなに金髪を靡かせていたというのに、どんな風の吹き回しだ……。



「…でも、そっちのほうがいいよ、」


「え?」


「似合ってる…、黒のほうがすごくいいよっ」



なんか前よりまた雰囲気ちがう感じするし、本当に一定の距離感を保っているから。

少しだけ思ったことを素直に口に出してみた。



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